ミシュランソウル2018のビブグルマン部門で今回新たに登場したのが、デジコムタンの注目店、屋同食(オットンシク、옥동식)です。ビブグルマンというと、美食の部類に入りながらも、リーズナブルに(日本円にして3000円程度以内で)食すことができるメニューを提供しているお店に与えられるのが選定基準。今回ご紹介させていただきます屋同食(オットンシク、옥동식)のデジコムタンは、普通がW8,000、特がW14,000(1400円程度)という値ごろ感があります。
行列必至の屋同食(オットンシク、옥동식)
韓国旅行に行く際には、事前に行きたいお店をリストアップするのですが、その際に絶対にいくお店として決めていたのが、屋同食(オットンシク、옥동식)でした。それはなぜか、と言いますと、ミシュラン云々ということではなくて、行列を嫌う韓国人でさえ行列をなす、並んでも食べたいと評されているお店だったからなんです。
場所は、合井(ハプチョン)駅から徒歩5分程度の立地にあり、住宅街の中にポツンとお店を構えていて、ここを目当てに行かない限りにはたどり着けないような場所にあります。道なり自体は簡単なのですが、なにせ住宅街なので、こんな所にお店があるのか、と感じるほど、ひっそりこじんまりとお店を営まれています。
近づくと大きな看板も出ているので、道自体は迷うことはないと思います。
今回僕は金曜に向かったのですが、お店の開店が11時からなので、満をじして、10時30分に行ってみたんです。日本だと、11時開店に対して朝の6時から並んだり整理券をもらったり、なお店もあるわけで、その感覚で30分前に出向いたのものの、お店の前には誰一人としていませんでした。笑
平日だからまぁそうか、、と思いつつ。
ところが、お店の開店する10分前、10時50分になると、急に人が集まりだしてきました。並ぶのが嫌いだからなのか、開店直前になって人が集まるようです。店内は最大で10人程度が座れるカウンターがあるのみなのですが、開店と同時に瞬時に満席です。僕は一番乗りでしたので、もちろん座れました^^
屋同食(オットンシク、옥동식)のデジコムタン
メニューは、「通常(ボトン)」か「特(トゥク)」のデジコムタンの2種類のみになります。せっかくなので今回僕は、「特(トゥク)」を頼みました。「通常(ボトン)」か「特(トゥク)」か、その違いは、量で、味にはなんら差異はありません。器がひとまわり小ぶりなのが、通常。大きい方が特、というような違いでしかありません。サイズ的には、「通常(ボトン)」でも十分なサイズ感だと思います。
テーブルには、綺麗な韓国伝統の食器、真鍮の食器が並びます。実はこの真鍮の食器、かなりお値段がしまして、スプーン一つでも3000円程度はするのが通常。そこは流石のミシュラン認定店、と言いましょうか、器にも高いこだわりと洗練さを感じました。
キムチなどもテーブルにあるので、デジコムタンが出来上がるのを待っている間は、適当にお皿にのっけて食べて、という過ごし方です。
お店でのマナーのようなものもあると思うので、店主の方や調理の風景などは写真に納めていないのですが、その店主の調理の所作が、極めて美しいのです。なんと言いますか、食の美学を体現した、まさに職人。ご飯を器に盛る所作、透き通ったスープを深い寸胴な鍋からすくい上げる丁寧さ。一流の寿司職人に握っていただくお寿司のような、無駄のない所作なんです。
そんな店主とお店の雰囲気がわかる動画があるので、ご紹介をさせていただきます。韓国の美食グルメ番組「水曜美食会」で取り上げられた際の動画です。
伝わりましたでしょうか。一つ一つが丁寧に作られている工程を感じ取っていただけるのではないかと思います。
そして、僕の席の前にデジコムタンが運ばれてきました。1番先に並んでいたので、1番だしのような感覚でいう所の、この日のスープのファーストバイトが僕になるわけです。ちょっとした優越感^^
美しい。。
デジ(豚)のスライスは、ほのかなピンク色で、そこにワケギのような小ねぎの緑が鮮やかに映えます。真鍮の黄金の器に、透明だけれども黄金色のスープが並々と注がれています。
「特」のデジコムタンだけあって、相当な肉の枚数でして、かなりボリューミー。 この通りです。
そして、肝心のお味はというと、
「うわぁ。。」 と静かに感嘆をしてしまうほど、完成されたスープが喉を通り抜けていきます。余計な味が一切なく、雑味一つないため、ス〜っと消えていくような極上のスープです。最高に美しく芸術的な宝飾品を目にした時に、言葉を失う、と言いますか、言葉を飲み込んでしまうような驚嘆の境地になる、あの感覚に近いかもしれません。
例えて言いますと、デジコムタンのピアジェです。
薄くスライスされた豚肉は、と言いますと、「焼き豚」でも「煮豚」でも「ハム」でもなく、前例のないスライス。非常に薄くカットされているものの、そこにはしっかりと豚肉の旨味が残っているので、スープの透明感とは真逆に、お肉自体に実はしっかりとした主張を感じます。
豚肉のスライスの下にはしっかりとしたご飯が隠れているわけですが、このご飯と共にいただくスープのスタイルは、日本でいう、冷たいお茶でいただくさらさらっとしたお茶漬けに近いものがあります。スープ自体は温かく、ご飯も温かいのですが、感覚的には、冷やご飯と冷たいお茶のお茶漬けに近しいような、さっぱりとさらさらとご飯が進む感覚がありました。
そして、この豚肉のスライスには、もう1つの食べ方が。
それが、特製の辛味噌、コチュジャンにつけていただくスタイル。味変、というやつでしょうか。かなりしっかりとした味なので、少量でもだいぶパンチが効いています。
これをこのまま食べるもよし、コムタンスープの中に、コチュジャンごと少しまぜ入れてしまってもよし、食べ方はいくつかあると思いますが、僕のオススメは、スープには混ぜずにまずはお皿にのっけた状態だけでいただくスタイル。このほうが、より豚肉本来の味わいをダイレクトに楽しむことができました。
「水曜美食会」に登場し、ミシュランのビブグルマンにも選出され、連日、並ばない韓国人が並ぶほどの人気店になっている屋同食(オットンシク、옥동식)のデジコムタン。その理由がわかりました。これはもう、新時代の韓国料理です。エポックメイキングな、新しい時代を作る韓国のデジコムタン、と断言できます。日曜日はお休みですし、土曜日は並ぶことが容易に想像されます。金曜日や月曜日など、ローカルの人たちが働いているタイミングでソウルに旅行へ出かけられる際には、是非一度行かれてみてください。 グルメな逸品、ここにあり、です。
屋同食(オットンシク、옥동식)の営業時間
月曜〜土曜: 11時〜14時。17時〜19時30分
日曜日定休。
屋同食(オットンシク、옥동식)の場所
合井駅(ハプチョン駅)から徒歩5分程度の立地です。
- 味の良さ
- 雰囲気の良さ
- アクセスの良さ
一言レビュー
これぞ美食。 新しい時代の韓国グルメ。