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近年は、洋食文化がメインになってきたのか、韓国ソウルの人気店、話題店というと、韓国グルメのお店ではなく海外から初上陸のお店だったりということが続いています。実際、日本でも話題になったハンバーガーショップのシェイクシャックは、すでにソウルで第3店舗目を東大門にオープン予定のようです。
そんな韓国ソウルの今がある一方で、昔ながらの、これぞ「THE韓国!!!」 というお店があります。それが、今回ご紹介をさせていただきます路地裏の大人気キムチチゲ専門店、ウンジュジョン(은주정)です。
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路地裏にある、ウンジュジョン(은주정)
ウンジュジョンは、キムチチゲ専門店なのですが、昼はキムチチゲ、夜はキムチチゲに加えてサムギョプサルのみを提供する、という本当の専門店。それだけの自信と人気を誇るお店なのだと思います。実際、美食グルメ番組「水曜美食会」にも登場しています。
鍾路5街駅や乙支路4街駅からのアクセスとなるのですが、場所はちょっとわかりづらい路地裏。ところが、その路地裏のお店に到着するや、店内は、大混雑。え、こんなところに人が隠れてたのか、と思うほど、寒い冬のソウルでもここには人が集まりまくり熱気でムンムンの室内になっています。
1階でも左右、奥それぞれにスペースがあり、2階にもテーブルはあり、非常に多くの方が座れる状況ながら、かつ回転も一定早いものの、整理券待ちの状態。大げさではなく、軽く、路地裏のディズニーランドのような混雑ぶりなんです^^
そんなウンジュジョン(은주정)のキムチチゲですが、お一人様向けのメニューはありません。鍋でそのまま出されるキムチチゲなのですが、最低でも2人で行かないと食べきれない量がでてきます。さらに、量が多いのは、野菜(葉っぱ)も同様。これでもか、というほどの葉っぱが出てきます。もちろん追加も全て無料です。
すぐには食べられないキムチチゲ
ウンジュジョンにお昼時にお邪魔すると、30分は待つことはざらにあります。いざ、着席してキムチチゲを頼むと、お鍋自体はすぐ出てくるのですが、そのまますぐに食べられるわけではないんです。というのも、出てきたキムチチゲを一定、汁が煮え尽くすほどに待ち、味が沁みていくのを待ちます。
その間は、出された小皿のおかずを食べて待ちます。実はこの小皿のおかず料理が、なんとも美味な家庭料理。飾り気のない素朴な味ながら、どんな味付けの仕方をしているのだろうと隠し味がきになるような、シンプルながらプロのおかず。キムチチゲへの期待が膨らみます。
キムチチゲの蓋をあけると、最初は、こんな具合になっておりまして、汁(キムチチゲのスープ)の量も最初はたくさん入っています。
これをグツグツ煮ていきます。
蓋をしてしばらく待っていると、汁と具材が一体化していきます。これが約10分〜15分後くらいでしょうか。
さらに待ちます。いや、どんだけ待つんだろ、と思うほど、待ちます。笑。自分のテーブルだけがそうなのではなく、どのテーブルもどのお客さんも、待っています。こういうスタイルなんです。
そして、鍋が届き煮込み始めて、25分くらいが経った頃でしょうか。汁のカサもだいぶ少なくなってきたタイミングで、お店のおばちゃんからOKをいただき、食事の開始です。いや〜長かった。笑
独特の食べ方、のキムチチゲ
日本でのキムチチゲの食べ方というと、鍋ではなく一人分で出てきて、かつ、スプーンやお箸でそれをただ食べるスタイルだと思います。ただ、ここウンジュジョンのキムチチゲの食べ方は異なります。
まずは、キムチチゲを鍋から適量、ボウルに移します。
そして登場するのが、これまた無料で出てくるご飯。白ご飯ではなく、こちらの黒米です。
このご飯と先ほどのボウルに移したキムチチゲと一番最初に出てきた葉っぱで食べてきます。その食べ方が、こちら。
さらには、ここにテーブルに出されたテンジャン(味噌)をのせ、味に締まりを出します。そしていただきます。
うまい!!!
これぞ元祖、伝統、王道の韓国グルメ!と呼べる味です。まず、葉っぱで包んで食べるという文化自体が日本にはない韓国特有の食文化だと思います。そこにのせるのは、韓国の食文化の中心、豚肉とキムチ。そして味噌をのせて食べるわけで、手のひらに韓国グルメの真髄が全てのっかっているんです。どこか奇をてらった味でもなく、何か特別な香辛料などが使われているわけでもなく、極めてオーソドックスながらも、シンプルに素材の鮮度や旨みだけで形作られた食の楽しみを存分に味わうことができます。
特に、美味なのは、何気にこの味噌。日本の味噌ですと、それだけでは塩辛さが濃いですが、ウンジュジョンのこの味噌は、甘みもあり、塩辛さはさほど感じません。これをつけるかつけないかでまるで味のバランスが変わるほどの主役級の味噌になっています。
この味噌が美味しすぎるので、何もキムチチゲの具材などは入れずとも、葉っぱに黒米(赤米?)をのせて味噌をつけるシンプルな味噌握りのような形にしてしまっても、それだけで絶品。「この味噌があれば、ご飯が何杯でもいける!」と思えるような味噌なので、それこそご飯にのせたら最強タッグになるわけです。
葉っぱの種類も様々なので、あ、この毒々しい色合いの葉っぱでも巻いて食べてみるか〜なんて思いながら食べるのもまた興味深いところ。韓国の食をダイレクトに感じられます。
そして、ある程度キムチチゲを食べ終わってくると、他のテーブルの方もやっていた、ちょっと邪道?いや、王道?なねこまんま式の食べ方にチェンジ。ご飯の入ったボウルに、そのままキムチチゲを入れて一定スープも入れて混ぜて、それだけをスプーンでかきこんで食べてしまいます。
これがまた、締めの逸品のようで美味しい^^
語弊を恐れずに申し上げますと、西洋人は連れてこられないけれど、アジア人、特に味噌文化のある日本人には是非紹介をしたいお店に感じました。このお店には韓国の食の王道が全て詰まっています。古き良き韓国の熱気と食への造形の深さを感じられる場所です。「あ〜この国は、経済破綻が起きても、食で経済が成立した国なんだな」とさえ思うほどでした。
路地裏の隠れた大人気店、せわしく動き回る食堂のアジュンマ(おばちゃん)、飾らない家庭料理の極み、大量の葉っぱと素朴なおかず、決して綺麗とは言えないけれど独特の粗雑さに韓国カルチャーを感じられる場所、ウンジュジョンのキムチチゲには、韓国の食が凝縮されていると感じました。
キムチチゲの気になるお値段は、一人、W8,000(800円程度)。初めて韓国を訪れる友人がいれば、まず真っ先にここに案内して、韓国食文化はこれ、と代名詞的に案内したいお店です^^
ウンジュジョンの営業時間は、こちらです。
月曜〜土曜: 11:30~22:00、日曜はお休み。
ウンジュジョンの場所は、こちらです。
- 味の良さ
- 雰囲気の良さ
- アクセスの良さ
一言レビュー
飾らない、だけど、そこにこそ韓国料理の奥深さあり